少子高齢社会の日本ですが、今後も益々高齢者が増えることが予想されています。しかし、肝心な介護の担い手が不足していると悲しい現実があります。
介護人材の不足の原因の一つとして、介護職の低賃金があります。
「ヒト」が「ヒト」に対して人生の終盤のお世話ができる、とても素晴らしい仕事なのですが、賃金が低いとやはり生活を維持できないので離職者が増えてしまいますね!?
では、なぜ介護職は低賃金なのでしょうか?根拠に基づいて分かりやすくご説明致します!
歴史的背景として「介護」という仕事は専門性がなかった
介護保険制度が始まる前の日本の介護現場の様子をご存知でしょうか?
今でこそ国家試験制度が確立されたりしていますが、昔は「介護」に専門性を必要とせず、だれでも簡単にできる考えがありました。
「看護」は医師の指示で医療行為を行なうのに対して、「介護」は生活の一部であり、自宅で簡単に誰にでもできる専門性の要しない作業とされていたのです。
ようやく介護保険制度の開始と同時に「介護」が注目されるようになりましたが、まだまだこれまでの国民の意識を変革させるまでには至らないのです。
実際に、介護は国家試験である「介護福祉士」でなくても、仕事をすることができます。一方、看護師はこの資格を持っていなければ仕事をすることができないのです。
「介護」は社会的価値が低いとされている根拠となっているのです・・・。
全ての収入は介護報酬によって決定する
介護は商売ではありません。頑張れば頑張るほど収入が増えるという仕組みでなく、年間を通して事業所(施設)に入るお金はほぼ決まっているのです。
それは、国の定める「介護報酬」が存在するため、全てのサービスはそれに基づいており、自分達で勝手に料金を設定することができないのです。
例えば、特別養護老人ホームの入所定員を50名としまし。1名当たりの月の収入を10,000円とすると
10,000円×50名×12ヶ月=60,000,000円
となり、年間を通したおおまかな収入が自然と打ち出されるのです。
じゃぁ、入所定員を増やせばいいと思うかもしれませんが、部屋の面積や設備の関係で、簡単に増やすことができないのです。
この限られた年間の収入の中でやり繰りをする結果、人件費が十分でない結果になるのです!
営利重視の施設も・・・
全ての事業をとは言いませんが、営利重視で経営をしているところもあります。
例えば、医療法人で考えてみます。法人の理事長が医師となり、その子供が同法人内の福祉施設の施設長となり、一族で経営することもあるのです。
こうなると、一般の職員やスタッフに限られた分しか、所得を得られないこともあるようです・・・。
まとめ
介護職の低賃金の理由はこれだけではなく、色々なことが複合的に混じっているケースが多いです。
これから高齢者が増える時代ですので、介護職(介護福祉士)としての専門性を高めながら、介護報酬も今よりもアップしないと、現状を打開できる方法はないでしょう。